2017年2月1日水曜日

山籠れるペルトナーレ


誰かが、さそってくれると出かけやすい。寒い寒い冬の日のお昼。道案内してくれ人がいないと、たぶんたどり着けない。月ヶ谷温泉に車を止めて、その裏山に登っていくと、食欲をそそるオリーブオイルのとてもいい香りが漂う。


鱈のカルパッチョだったと思う。味は覚えているが、料理の名前はすぐに忘れてしまう。


ハムとイチゴとオレンジと野菜たちのそれぞれの味が口の中で交じり合い。はじめて経験する味わいであった。



阿波ポークのステーキ。塩の燻製と、キュウリのカラシ漬けで食べる。









黒板には「七草なずな唐土の鳥の日本の土に渡らぬ先に」の七草を刻むときの歌が書いてあった。

農文協編の『日本の食生活全集36聞き書徳島の食事』1990年発行によると、

吉野川の北岸、阿波市土成町では、大鍋に米2合に、水1升をおくどにかけて、セリ、小松菜、ホウレンソウ、蕪、大根、ニンジンの葉、山東菜など手に入る青菜7種を入れた粥をつくって家族で食べて長寿を祝う。青菜を小さく刻むときに「七草なずな 唐土の鳥が 日本の土地に 渡らぬ先に スットントン スットントン」と歌いながら小さく小さく刻む。

祖谷では、具が七種になればよく、モチ、豆腐、まいもの小芋、青菜などで七種そろえて、神仏のお供えするので、ジャコは使わず味噌だけで味をつける。神仏のお供えした後で、家族揃って食べる。

那賀奥では、七日正月におみいさんを炊く。前日に杓子菜や大根を洗っておく、仏さんに供えるのでジャコは使わない。味噌味をつける。

那賀川下流の阿南市羽ノ浦では、前日に田んぼに七草をつみに行く、7種そろわない場合は、杓子菜やホウレン草で補う。七草は粥にせず、白味噌あえにする。七草をゆがいて、まな板にのせ、れんぎ(すりこぎ)と杓子を両手に持って、七草をたたきながら「七草なんなん唐土の鳥が日本の国へ渡らぬ先に、七草なんなん」と歌う。七日の朝に、家族がめいめいにゆがいた七草をたたいてから、白味噌であえる。正月用に白味噌をつくる風習がある。七草の白味噌あえの他に、特に「おせち」と呼ぶおなますと白飯をお棚にお供えして、残りは家族でいただく。

鳴門市では、神棚にご飯と七草のおあえを供える。この日は仕事を休み。家族で七草のおあえと餅を食べる。餅は醤油や砂糖をつけて食べる。「七草なずな、唐土の鳥が日本の土地に渡らぬさきに、こーとことや、こーとこと」と唱えながら包丁の背で七草を叩き、さっとゆでて白味噌、ごま、砂糖で味をつける。

吉野裕子著『五行循環』人文書院刊、1992年によると、

七は「火の数」、それによって剋されるのは鳥で、酉も唐は西の方位で、金気の方位である。七草は金属の包丁で叩かれる。これも金気を剋する呪術といえる。

正月寅月は、木気の方位「寅卯辰」のはじまりにあたる。正月の祝物は、角松に代表されるさまざまな植物。木気に属する鱗族=即ち魚も祝物となる。

木気を損なうものは金気で、金気を剋する火気を使うことは、木気を助けることになる。ドンド焼きや鳥小屋とよばれる小屋が焼かれるのも、火による火剋金による木気を助ける呪術といえる。













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