2016年10月22日土曜日
オレンジワールドという未来
2014年10月に発表されたPwCの調査報告「未来の働き方‐2022年までの変遷と展望」によると、世界は大きく3つに分かれていくと考えらえている。
PwCはプライスウォーターハウスクーパースのこと、ロンドンを本拠地とし、世界159カ国に18万人のスタッフを擁する世界最大級の会計事務所であり経営コンサルティング会社。
中国・ドイツ・イギリス・アメリカに住む1万人に未来の働き方と、それが自分に与える影響に対する考えを聞いたアンケート調査の結果。PwCとオックスフォード大学サイード・ビジネス・スクールのジェームス・マーチン科学文明研究所との共同調査で、調査に基づいて、2022年までを展望し、これから未来に起きるさまざまな変化によって形成される仕事世界を3つに分類。
その3つの世界はブルーワールド・グリーンワールド・オレンジワード。
ブルーワールドは企業がお金で支配する世界。
社会的責任よりも資本家の個人的な好みが優先される。
グリーンワールドは企業の配慮が世界をつくる。
利益を上げることと環境に配慮することが同等の価値となる。持続可能性を社会に根付かせることが企業の最大のテーマとなる。
オレンジワールドは企業よりも小規模な組織が世界をつくっていく。
専門分野に細分化し、それらが協働のネットワークをつくって仕事を行い社会に貢献していく。
オレンジワールドというのが面白い。
「未来の働き方‐2022年までの変遷と展望」によると
世界の29%の人間が仕事において最も重要なことは、自分で管理し、何をいつやるかを自分で決められることだと回答している。
世界の5人に2人、31%が、従来の雇用形態はやがて姿を消し、その代わりに労働者がそれぞれのブランドを確立し、自分の能力を必要とする相手にスキルを売るようになる。
オレンジワールドとは
①企業環境の未来
柔軟性に乏しい大企業は、柔軟性、機動力、革新性、活気、企業精神にあふれる中小企業に勝てないことを悟る日がやってくる。
②未来を支える技術革新
インターネットの普及し双方向のコミュニケーションが円滑になった。新しいネットワークやテクノロジーを駆使し、遠く離れていても、同じチームとして、同じ目的のもとに働くことが可能になってきた。
③働き方の変化
目的別にプロジェクトを立ち上げ、プロジェクトの目的の達成のために、それにふさわしい人が集められてチームが組まれる。
④働き方の変化がもたらす労働者の変化
ポートフォリオ方式のキャリアが注目される。ポートフォリオ方式とは、自分の能力を周囲に伝えるための自己作品集のこと。
労働者がそれぞれの自分独自のブランドを確立し、自分の能力を必要とする相手に自らのスキルを売るようになる。
自分自身を特定の企業の従業員ではなく、特定のスキルを持った人材であり、専門職ネットワークを構成する一員と見なす人が増えていく。
さまざまな組織でフリーランサーまたは契約社員として働く方が、より柔軟な就労でき、そして多彩な課題に挑戦でき、やりがいがあると感じるようになる。
自己申告した専門知識が本当であることを、雇い主に証明する必要がある。そのため自分の過去の仕事に対する評価を表す必要がある。このとき、インターネットのSNSなどでを活用し一般のユーザーの生の評価などを集めるこが役立つことになる。
⑤企業の組織の形と人材雇用の仕方
オレンジワールドの企業にとって、効率的なシステムとプロセスの設計が成功を左右することになる。
人材採用が調達業務と同じ意味をもつものなる。チームを構成する人材の能力によって成果が左右される。
企業は個々の人材の実力を正確に把握することが重要となり、労働者はチームやプロジェクトの成功に対する責任を強く求められるようになる。プロジェクトの成功に対するボーナスやプロジェクトの失敗に対する罰金なども、ごく当たり前のこととなる。これらを盛り込むために契約はかなり複雑なものになる。
人事部門はチームを構成する機関との膨大な契約と、チームを構成している人材との能力別に設けられた多数の料金契約の管理も行うことになる。
企業の規模が小さいために人事部の採用担当チームを備えていない企業が多くなり、そうした企業のニーズを満たすために、テクノロジーや専門代理業者の力も借りるようになる。
プロジェクトの達成のために人材募集に入札を導入することもはじまる。
⑥さらに新しいテクノロジーの開発
人材の職務に対する適応性を判断するテクノロジー、人材の位置情報や就労可能性を追跡するテクノロジー。
⑥社会に与える影響
オレンジワールドの先駆的企業は、専門職の組合、協会、労働組合など人材がたくさん登録されているところに対して、人材訓練、開発、イノベーションの供給源となることを求め、そうした組織に新たな使命を与えることになる。
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