Ⅰ.秋ワラ処理は絶対必要。
①ワラを分解するのはバチルス菌。バチルス菌が消化酵素をつくるのに苦土が必要不可欠。水酸化マグネシウムを施肥する。ワラには天然の納豆菌の仲間がたくさんついている。それらを活性化させるには、苦土(マグネシウム)が必要。
②酢物は腐りにくい。田んぼが酸性なら、ワラは腐食分解しにくい。カキガラ石灰を入れてpH=6.5にする。
③ワラのC/N=50くらい。ワラには窒素が足りない。発酵鶏糞で窒素と発酵菌を補ってやることで、腐食分解を促進。
ワラの腐食分解には積算温度で600℃×日が必要。20℃なら30日くらい。台風の襲来などで、田んぼに入れないときもあるが、時期が遅くなっても、秋ワラ処理はやった方が良い。
腐食分解をしているのは、酸素が必要な好気性菌による分解のため、あまり深く鋤き込むと分解しにくい。
ワラの分解の目安は、切りワラの両端を引っ張ってちぎれるかどうかで判断する。新鮮なワラなら絶対にちぎれない。ちぎれるということは、センイの中に水が浸みこんでいるから、だから、ひっぱたら、ちぎれる。浮いているワラは水をはじいているので腐っていない。
Ⅱ.いっせいに活着・いっせいに分ケツ・いっせいに出穂の三拍子がそろわないといけない。
この三拍子がそろうと、稲の姿が扇形ではなく、穂の位置がすべて同じ高さになる。
遅れて出てくる穂は、稲刈りまでに熟さないので、収穫できない。そういう無効分ケツがない。
40本も分ケツしても、半分しか収穫できないとなると、収量は上がらない。
止め葉の大きさが肘から手先までの長さを超えるほど大きくなる。
一茎あたりの粒数も多くなる。普通は120粒くらいのところ160粒くらいになる。
粒が多くても、中身が熟していない殻だけの実ではいけない。
すべての実を熟して、収穫しなければ、多収穫にはならない。ゆえにいっせい出穂が重要になる。
「なっとく有機」は徳島県の南の方でしか手に入らない有機米をおいしくする肥料。地鶏阿波尾鶏の発酵鶏糞50%に地鶏の出荷できない部位50%、頭とか血とかを熱湯でボイルして殺菌して、発酵鶏糞の発酵菌で鶏の残さのタンパク質をアミノ酸に分解したもの。
左は化学肥料で栽培。右は「なっとく有機」で栽培。右の「なっとく有機」の方が、根の伸びも長く、深く、葉の幅も広く大きいことがわかる。「なっとく有機」は溶けやすく、溶けやすい分、吸収もよく、生育もよくなる。窒素をアミノ酸態で供給できる発酵肥料は、細胞をつくるときに、光合成によって生産された炭水化物をあまり消費することなく、細胞をつくることができ、炭水化物を植物体内に余らせることで、セルロースでできた外壁を強化できたり、生長のためのエネルギーをたくさん使えたり、ミネラルを溶かして吸収するために、根から出す根酸を増やすこともできる。
①苗の工夫→稲苗をつくるときに「みみず覆土」を使う。根の張りを良くする効果がある。
②田んぼの工夫→元肥として「なっとく有機」を使う。水を入れる前の乾いている田んぼに「なっとく有機」を均一に散布しトラクターで耕転する。入水するときに酵母菌液を流し込む。ここで重要なのは、酵母菌液の活性度合が重要になる。ドライイーストの酵母菌を黒砂糖で目覚めさせて、活性がピークになったころに田んぼに移し、有機質肥料である「なっとく有機」を食べさせ、酵母菌をさらに増やす。酵母菌は田んぼの深いところまで浸み込んでいき、炭酸ガスを発生させるので、土壌を団粒化させて、稲の根を深くし、根の量を増やすことになる。また、酵母菌はさまざまな生理活性物質をつくり、稲に供給するため稲の生育がよくなる。酵母菌の培養は、稲苗用の育苗ハウスの中なら、4~5時間で完了する。酵母菌が活性化してくると、pHが下がり始める。4.5くらいまで下がったら完成。
Ⅲ.抑草対策
「なっとく有機」を表層施肥するとトロトロ層ができて雑草が生えにくくなる。
①「なっとく有機」による表層の濃度障害。雑草のタネの発芽したての弱い根や芽に高濃度の肥料を吸収させて焼いてしまう。
②ミジンコなどの微生物の活性により水が濁り、光が遮蔽される。ミジンコなどの微生物の活性には、水田土壌から発生するガスが、硫化水素やメタンのような有毒なものでなく。酵母菌由来の炭酸ガスで、稲の根が健全で、根からの酸素の供給が多いことが重要。
Ⅳ.水酸化マグネシウムの追肥
田植後、1ヶ月くらいで、水酸化マグネシウムを1反あたり20キロほど追肥する。これは土壌の微生物の活性のため。