●人間はビタミンCがつくれない生きもの
ライナス・カール・ポーリング博士は、量子力学を化学に応用した先駆者であり、「化学結合の本性、ならびに複雑な分子の構造研究」を記述した業績によ、1954年にノーベル化学賞を受賞。1962年、地上核実験に対する反対運動の業績によりノーベル平和賞を受賞。単独でノーベル賞を2度受賞した数少ない人物の一人である。20世紀におけるもっとも重要な化学者の一人といわれるほどの博士。その博士が後年、大量のビタミンCや他の栄養素を摂取する健康法を提唱した。
ライナス・ポーリング博士は「人類がビタミンC合成する能力を失ったのは脳を守るためだ」と述べている。
体内で合成できないため、食べ物から摂取しなくてはならない必須栄養素はいろいろあるが、他の動物はビタミンCを自力でつくることができるが、人間はビタミンCを体内で合成できない。
6500万年前に恐竜が絶滅し、哺乳類が繁栄する時代がはじまる。サルの先祖は、6300万年前に、アビダス類(曲鼻猿類)とオモミス類(直鼻猿類)に分かれる。サルの先祖は、地上がネズミ類の先祖に占領されてしまったために、木の上に棲みかを求めた。木の上で生活をするために、距離感を正確に認識する必要に迫られ、立体視ができるように進化した。そのため目の位置がサイドではなく、正面を向くようになったと考えられている。目が正面を向いてついているのがオモミス類(直鼻猿類)である。
6300万年前のオモミス類(直鼻猿類)への分岐によって、オモミス類(直鼻猿類)は、ビタミンCをつくる能力を失ったと考えられている。ビタミンCをつくる酵素をつくる遺伝子は持っているが、発現しないように眠っている状態になっている。
オモミス類(直鼻猿類)には人間以外に、オラウータン・ゴリラ・チンパンジー・メガネザル・クモザル・オマキザル・サキザル・オナガザルがいる。
ちなみにアビダス類(曲鼻猿類)には、アイアイ・キツネザル・ガラゴ・ロリスがいる。
多くの動物はブドウ糖(グルコース)を原料にLグロノラクトンオキシダーゼという酵素を働かせビタミンCを体内で合成している。霊長類はこのLグロノラクトンオキシダーゼが働かないのである。
ビタミンCは副腎がアドレナリンやコルチゾールなどのホルモンを産生するときの原料になる。そのためか、副腎における濃度が体内で一番高く、血中濃度の150倍もある。アドレナリンは、闘争と逃避のホルモンと呼ばれ、動物が獲物を襲うときのストレス反応や、逆に捕食者に狙われた時に瞬時に逃げるストレス反応を全身の器官に引き起こすホルモン。コルチゾールは強力な抗炎症、抗ストレス作用をもつホルモン。
脳はブドウ糖(グルコース)のみを栄養にして活動しているが、もし、人間にビタミンCを体内でつくる能力が失なわれていなかったら、強いストレスを感じると、コルチゾールをつくるための原料として、ブドウ糖をビタミンCに変えてしまい、結果、脳が低血糖状態になって、思考能力が低下してしまうのではないかと考えらえている。脳を守るためには、脳で使いたいブドウ糖を極端に消費してしまうビタミンCの合成は不要となったのだったのだろう。
しかし、人間はビタミンCの自己生成能力を失っため、ビタミンC欠乏で副腎疲労を起こし、大きなストレスを受けることとなった。
●ビタミンCの体内での使われ方
①シミの予防
表皮は角層・顆粒層・有棘層・基底層の4層でできている。一番下にある基底層には、メラノサイトという色素細胞があり、肌に紫外線が当たると表皮の下にある真皮に紫外線が届かないようにメラノサイトがメラニンという色素を合成する。強い紫外線に当たると日焼けするのは、このメラニンが合成されるから。
メラニンは、通常は皮膚のターンオーバー(新陳代謝によって深いところでできた細胞が表面に登っていって垢となって排出されること)が進むにつれて角質などの不要物と一緒に垢になり体外に排出されます。一般的には、一度生成されたメラニン色素は28日~56日程度で体外に排出される。
ターンオーバーがスムーズに行われない状態になると、メラニン色素がうまく排出されずに色素沈着を起こし、シミとなる。
ビタミンCには、シミの原因であるメラニン色素の過剰生成を抑える効果がある。また、色素沈着したメラニン色素を元の色素に戻す還元作用がある。そのため、一度できたシミを薄くすることができる。
②シワの予防と改善
シワの主な原因は、皮膚のコラーゲンの減少。年齢を重ねていくと、皮膚の細胞の新陳代謝などの働きも次第に活発ではなくなり、肌の弾力とハリに大きく関係がある皮膚の真皮にあるコラーゲン・エラスチンと・ヒアルロン酸を生成する繊維芽細胞の働きが衰えて、コラーゲン・エラスチンと・ヒアルロン酸がうまく生成されなくなり、肌の弾力がなくなっていく。
ちなみに、赤ちゃんの肌にすごく弾力やハリがあるのは、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸が正常に生成されているから。
加齢の他にも、紫外線もシワの原因の一つ。皮膚の深部まで届いた紫外線がコラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸自体を破壊してしまうから。肌の弾力やハリがなくなると、肌の柔軟性もなくなってクセがつきやすくなりシワができやすくなる。皮膚をよく動かす口元や目元の部分からシワができていく。ビタミンCは、真皮のコラーゲンの生成を助ける働きがある。また、コラーゲンを生成する時に働く酵素を助けている。
③ニキビ予防
皮脂が過剰に分泌されると、皮脂で毛穴に詰まってしまい、その詰まった皮脂をエサにしてアクネ菌が繁殖して炎症が起こり、ニキビとなる。
ビタミンCには、皮脂の分泌量を正常な量に抑える働きや抗炎症作用がある。肌の毛穴の開きは、皮脂が過剰分泌されることで悪化するので、ビタミンCによって、皮脂の分泌を抑えると毛穴を目立たなくできる。
④疲労回復
ビタミンCには、活性酸素の発生抑制効果がある。
⑤免疫力UP
ビタミンCには、体内に侵入したウイルスを排除する働きがある白血球を強化し、免疫力を高めてくれる。
⑥貧血防止
ビタミンCには、体内に取り入れた鉄の吸収率を上げるので、貧血を防ぐことができる。
⑦ストレス解消
ビタミンCは、副腎皮質ホルモンを合成するために必要な成分で、十分にビタミンCを摂取すると、副腎皮質ホルモンの分泌を促進させることができる。
ビタミンCの推奨摂取量は、成人の男女共に1日100mgと言われています。妊婦の場合は1日110mg、授乳婦の場合は1日150mg
ビタミンCは水溶性なので、ほとんどが尿と共に体外に排出されてしまう。ビタミンCの効果を実感するには1日300〜500mgを摂取する必要がある。
2016年9月29日木曜日
2016年9月28日水曜日
人間はガンになりやすい生きもの
NHKスペシャル病の起源ガン=人類進化が生んだ病より
●ガンとは何か?
正常な細胞は、ある程度分裂を繰り返したり、分裂の段階でDNAのコピーにミスが生じたとき、自ら死に至るアポトーシス(細胞死)という性質が組み込まれている。 ガン細胞は、そのアポトーシスの仕組みが失われており、栄養分と酸素さえあれば無限に分裂・増殖を繰り返していく。 ガン細胞の怖いところは、血液やリンパ液の流れに乗ってガン細胞が他の臓器に転移することである。腫瘍ができても、それがその場にいつまでも留まっていれば、手術で取り除くことができる。
●人間はガンになりやすい生きもの
ガンは多細胞生物の宿命。5億5千万年前の恐竜の骨でガンが見つかっている。 人間はガンになりやすい動物だといえる。チンパンジーと人間の遺伝子の違いはわずか1%であるが、ガンになる確率は15倍も高く、ガンによる死亡もチンパンジーが2%に対し、人間は30%にもなる。 進化の過程で、人間はなぜガンになりやすくなったのか?
●二足歩行とガンの関係
二足歩行ができるようになって、両手が自由に使えるようになって、男は女に食べものを運び、女はその代償として交尾をさせるという生態ができ、男は狩り、女は子育ての分業が確立した。 人類は二足歩行を獲得したが、代わりに骨盤が狭くなってしまったために人間の赤ん坊は未熟で生まれるようになり、子どもが一人前に歩き回れるようになるまで3年間、女は男を繋ぎ止めておく必要が産まれた。 チンパンジーではメスに明確な発情期があり、対応するようにオスの精子を作る細胞の増殖は一定期間で終わるシステムになっている。 人間の場合、女は発情期を明確に示さなくなり、男は子孫を残すために、いつでも精子を準備しておかなくてはいけなくなった。精子をつくる細胞に変化が生じ、際限なく分裂できるように進化した。そして人間のガンは、この精子製造の際限なく分裂できる増殖システムを取り入れて狂暴化した。
●脳の巨大化とガンの関係
脳の急速な巨大化を支えたのは、細胞増殖に必要な脂肪酸を作る酵素FASが深く関与している。
人のFAS酵素は他の動物と比べて強力に変異して、脳の巨大化を助けた。だが人のがんは精子増殖と同様に、パワーアップしたFASを大量に集中利用し、大増殖して人のガンを増大させた。
ガブリエル・ロネット博士は、ガン細胞は、アポトーシス(細胞死)の仕組みが失われており、栄養分と酸素さえあれば無限に分裂・増殖を繰り返していくため、細胞内に脂肪を貯蔵できるはずがない。それなのに、脂肪を貯蔵する働きをするFAS酵素がガン細胞内に大量に存在していたことを発見した。その後の研究によって、ガン細胞は、FAS酵素をエネルギーを貯蓄するために使うのではなく、FAS酵素がつくる脂肪酸を増殖分裂の際のエネルギーとして使っていることを明らかにした。
FAS酵素の働きを止めれば、ガンは増殖できず死滅することがわかり、。抗がん剤FAS酵素阻害薬C31が発明された。C31は開発中ではあるが、殆ど総てのガンに効果がある画期的な治療薬として注目されている。
全身の細胞は休むことなく新陳代謝されているが、FAS酵素阻害薬C31は1日の投与でガン細胞にダメージを与える。1日なら、正常な細胞分裂が止まっても問題は少ない。臨床試験が終われば、ガンの有力な特効薬となる。
●出アフリカがもたらしたガン
人類はアフリカに生まれ、6万年前に他の地域へ広がっていった。寒冷で紫外線が少ない米国ネブラスカ州プリモント市は全米一番、大腸ガンによる死者が多い。紫外線によって生成されるビタミンD不足が大腸ガンに関係している。大規模な比較実験では、ビタミンD服用者たちの大腸ガン発症は半分になった。
●電気の発明とガンの関係
メラトニンは夜間に眠っている時に増え、ガンを抑制する働きがあるホルモン。眠っている時にか分泌されず、夜間勤務者はメラトニンが5分の1しか分泌されず、乳ガンは2倍、前立腺ガンは3倍に増えた。 2009年にデンマークでは夜勤看護師の乳ガンと前立腺ガンに労災が適用されている。日本人女性は16人に1人が乳ガンにかかるという。そして乳ガン発病者の2割が死亡している。乳ガンは転移しやすいためと考えられる。
●ガンとは何か?
正常な細胞は、ある程度分裂を繰り返したり、分裂の段階でDNAのコピーにミスが生じたとき、自ら死に至るアポトーシス(細胞死)という性質が組み込まれている。 ガン細胞は、そのアポトーシスの仕組みが失われており、栄養分と酸素さえあれば無限に分裂・増殖を繰り返していく。 ガン細胞の怖いところは、血液やリンパ液の流れに乗ってガン細胞が他の臓器に転移することである。腫瘍ができても、それがその場にいつまでも留まっていれば、手術で取り除くことができる。
●人間はガンになりやすい生きもの
ガンは多細胞生物の宿命。5億5千万年前の恐竜の骨でガンが見つかっている。 人間はガンになりやすい動物だといえる。チンパンジーと人間の遺伝子の違いはわずか1%であるが、ガンになる確率は15倍も高く、ガンによる死亡もチンパンジーが2%に対し、人間は30%にもなる。 進化の過程で、人間はなぜガンになりやすくなったのか?
●二足歩行とガンの関係
二足歩行ができるようになって、両手が自由に使えるようになって、男は女に食べものを運び、女はその代償として交尾をさせるという生態ができ、男は狩り、女は子育ての分業が確立した。 人類は二足歩行を獲得したが、代わりに骨盤が狭くなってしまったために人間の赤ん坊は未熟で生まれるようになり、子どもが一人前に歩き回れるようになるまで3年間、女は男を繋ぎ止めておく必要が産まれた。 チンパンジーではメスに明確な発情期があり、対応するようにオスの精子を作る細胞の増殖は一定期間で終わるシステムになっている。 人間の場合、女は発情期を明確に示さなくなり、男は子孫を残すために、いつでも精子を準備しておかなくてはいけなくなった。精子をつくる細胞に変化が生じ、際限なく分裂できるように進化した。そして人間のガンは、この精子製造の際限なく分裂できる増殖システムを取り入れて狂暴化した。
●脳の巨大化とガンの関係
脳の急速な巨大化を支えたのは、細胞増殖に必要な脂肪酸を作る酵素FASが深く関与している。
人のFAS酵素は他の動物と比べて強力に変異して、脳の巨大化を助けた。だが人のがんは精子増殖と同様に、パワーアップしたFASを大量に集中利用し、大増殖して人のガンを増大させた。
ガブリエル・ロネット博士は、ガン細胞は、アポトーシス(細胞死)の仕組みが失われており、栄養分と酸素さえあれば無限に分裂・増殖を繰り返していくため、細胞内に脂肪を貯蔵できるはずがない。それなのに、脂肪を貯蔵する働きをするFAS酵素がガン細胞内に大量に存在していたことを発見した。その後の研究によって、ガン細胞は、FAS酵素をエネルギーを貯蓄するために使うのではなく、FAS酵素がつくる脂肪酸を増殖分裂の際のエネルギーとして使っていることを明らかにした。
FAS酵素の働きを止めれば、ガンは増殖できず死滅することがわかり、。抗がん剤FAS酵素阻害薬C31が発明された。C31は開発中ではあるが、殆ど総てのガンに効果がある画期的な治療薬として注目されている。
全身の細胞は休むことなく新陳代謝されているが、FAS酵素阻害薬C31は1日の投与でガン細胞にダメージを与える。1日なら、正常な細胞分裂が止まっても問題は少ない。臨床試験が終われば、ガンの有力な特効薬となる。
●出アフリカがもたらしたガン
人類はアフリカに生まれ、6万年前に他の地域へ広がっていった。寒冷で紫外線が少ない米国ネブラスカ州プリモント市は全米一番、大腸ガンによる死者が多い。紫外線によって生成されるビタミンD不足が大腸ガンに関係している。大規模な比較実験では、ビタミンD服用者たちの大腸ガン発症は半分になった。
●電気の発明とガンの関係
メラトニンは夜間に眠っている時に増え、ガンを抑制する働きがあるホルモン。眠っている時にか分泌されず、夜間勤務者はメラトニンが5分の1しか分泌されず、乳ガンは2倍、前立腺ガンは3倍に増えた。 2009年にデンマークでは夜勤看護師の乳ガンと前立腺ガンに労災が適用されている。日本人女性は16人に1人が乳ガンにかかるという。そして乳ガン発病者の2割が死亡している。乳ガンは転移しやすいためと考えられる。
2016年9月12日月曜日
和歌山県高野口での田んぼの生きもの探検隊
青紋糸蜻蛉(アオモンイトトンボ)
菊月子守蜘蛛(キクツキコモリクモ)、菊月は9月、9月に子守しているから菊月子守蜘蛛。春に子守をするのは卯月子守蜘蛛。
霞亀虫(カスミカメムシ)の仲間。黄緑色が美しい。
筋赤走蜘蛛(スジアカハリシクモ)の幼齢体。オレンジ色が美しい。
ウスバキトンボは、世界中の熱帯から温帯域に棲んでいる。旅をするトンボで、かなり華奢な軽量の体で、グライダーのように風をつかまえて、長時間・長距離飛行ができる。毎年春になると南日本から成虫が発生する。南西諸島や九州、四国では4月中旬に飛び始めるが、本州南部では5〜6月、中部山岳地帯や東北地方では7〜8月、北海道では9月というように発生時期が徐々に北上する。8〜9月頃には、日本各地で大群で飛び回る様が観察できる。
ウスバキトンボはよく食べる。メスの成虫で1日に約14mgの小昆虫を食べる。これは体重の約14%にあたり、小昆虫に換算し約185匹分となる。メスの成虫の蔵卵数は約29,000は、ほぼ同体長のノシメトンボの蔵卵数約8,800の3倍以上。十分に摂食しているメス成虫が1日に生産できる成熟卵は約840個。産卵数が多いため、急増し、よく目立つ。卵から孵ったヤゴは約1ヶ月で成虫になる。日本に殆ど土着せず、東南アジア・中国大陸・シベリアから渡ってくるトンボはウスバキトンボ以外にも多くの種類があるが、他種はひと夏の間に個体数を急増させることはまずない。
ウスバキトンボは寒さに弱く、ヤゴは水温4℃で死滅する。季節がめぐるのと共に、数回の世代交代を繰り返しながらウスバキトンボは北へと向かい、南に戻ってくるものは発見されていないので、北へ向かった群れは、寒さで死んでしまうことになる。日本では九州南部なら越冬しているヤゴもいるのではないかと推測されているが、くわしいことは確認されていない。
①水生昆虫(成虫):2種類
チビゲンゴロウ・芥子肩広アメンボウ
②水生昆虫(幼虫):7種類
双葉蜻蛉の幼虫・谷地ハエの仲間の幼虫・チョウバエの仲間の幼虫・双葉カゲロウの幼虫・
背筋ユスリカの幼虫・ボウフラ・ヘビトンボの幼虫"
③トンボの仲間(成虫):3種類
塩辛トンボ・薄羽黄トンボ・青紋糸トンボ
④トンボのヤゴ:3種類
塩辛トンボのヤゴ・糸トンボの仲間のヤゴ・ウスバキトンボのヤゴ
⑤陸生昆虫(甲虫):1種類
紅縁テントウムシ
⑥カメムシの仲間:3種類
細縁カメムシの仲間の幼齢虫・姫縁カメムシの仲間・霞カメムシの仲間
⑦ウンカの仲間:4種類
褄黒ヨコバイ・鳶色ウンカ・背白ウンカ・ヒゲ長油虫の仲間
⑧アブ・ハエ・蚊の仲間(成虫):2種類
水虻の仲間・背筋ユスリカ
⑨蝶・蛾(成虫):2種類
褄黒黄チョウ・アゲハチョウ
⑩蝶・蛾(幼虫):3種類
セセリチョウの仲間の幼虫・筋紋ヒトリガの仲間の幼虫・背筋スズメガの幼虫
⑪その他昆虫:1種類
草カゲロウの幼虫
⑫クモ類:6種類
優形脚長クモ・菊月子守クモ・八ツ星姫クモ・赤胸姫クモ・
黄腹子守クモ・筋赤ハシリクモの幼齢体"
⑬鳥類:1種類
アオサギ
⑭両生類:3種類
ヌマガエル・トノサマガエル・ヌマガエルのおたまじゃくし
⑮魚類:2種類
ドジョウ・カワムツの稚魚
⑯貝類:5種類
タニシ・物洗い貝・逆巻貝・淡水シジミ・平巻水マイマイ
⑰その他生きもの:3種類
ダンゴムシ・トビ虫・並ウズムシ
以上
2016年9月6日火曜日
京田辺市水取鬼灯の里山の田んぼの生きもの探検隊
殿様蛙(トノサマガエル)、8月23日、コープ自然派京都の組合員さんが営んでいる里山の田んぼで、生きもの調査を行いました。88種類の生きものが見つかりました。
リス茜(リスアカネ)、リスは人命スイスのトンボ学者のフレドリッチ・リスに由来するもので、動物のリスとは関係ない。アカネ科のトンボの中でもっとも暗いところを好み。周囲が樹林で囲まれた閉鎖的な水辺を好む。開放的な平野で見ることはない。6月下旬ごろ羽化が始まり、遅い場合は11月下旬頃まで成虫が見られる。
松藻虫(マツモムシ)
たぶん硫黄色走蜘蛛(イオウイロハシリクモ)
大二紋烏羽玉米搗虫(オオフタモンヌバタマコメツキムシ)。「ぬばたま」は黒や夜にかかる枕詞。枯れ木に擬態しているのでしょうか?
沢蟹(サワガニ)、完全陸生のカニで、卵を海に放卵しにいくことなく、一生を内陸の川でくらす。幼生は卵の中で変態し、孵化したときにはカニの姿をしている。稚児カニは、しばらくの間、親カニに養育される。
小蟷螂(コカマキリ)鎌に黒い模様があるのが小蟷螂の特徴。
大塩辛蜻蛉(オオシオカラトンボ)、塩辛蜻蛉との違いは、①複眼が黒い、②翅の先が黒い、③腹部の先の黒色部分は短い、④翅の付け根が黒い。塩辛という名前は、成熟すると胸の部分に、灰白色の粉が付くのが塩がふいたみたいにみえることからという。
バナナ虫こと、褄黒大横這(ツマクロオオヨコバイ)
蟷螂(カマキリ)
灰色源五郎(ハイイロゲンゴロウ)
地名は「水取鬼灯」という、鬼灯というのは、沼底に落ち葉が堆積して、バクテリアの活動で還元状態で嫌気発酵したときに、メタンガスや硫化水素ガスといった燃えやすいガスを発生するが、これが実際に燃えていたのではないかと思われる。
水取の地名は、東大寺二月堂修二会のお水取り神事のときに使う竹でできた巨大松明の竹を、この地域から切り出して届けていることに由来するという。毎年、2月11日の早朝に、周囲20cm、重さ100㎏もある根付きで7本掘り起し、観音寺で安全祈願の「竹寄進」の法要をした後に、奈良の黒髪山まで車で運ばれ、そこからは旧奈良街道を人力で担がれて東大寺まで運ばれていくという。
●見つけた生きもの:88種類
①水生昆虫(成虫):10種類
姫ガムシ・灰色ゲンゴロウ・松藻虫・子負虫・小水虫・小ちび水虫・大アメンボウ・並アメンボウ・芥子肩広アメンボウ・縞アメンボウ
②水生昆虫(幼虫):7種類
早苗トンボのヤゴ・塩辛トンボのヤゴ・ヘビトンボのヤゴ・ガガンボの幼虫・ユスリカの幼虫・花アブの幼虫・ボウフラ
③トンボ(成虫):5種類
塩辛トンボ・大塩辛トンボ・麦わらトンボ・リスアカネ・青紋糸トンボ
④ハチの仲間:3種類
丸花ハチの仲間・髭長黒胸ハチ・小繭ハチの仲間のマユ
⑤ハエの仲間:1 種類
家ハエの仲間
⑥アリの仲間:3種類
姫アリの仲間・網目アリの仲間・アメイロアリの仲間
⑦バッタの仲間:8種類
カマキリ・小カマキリ・コウロギ・ツユムシ・クサキリ・小翅イナゴ・オケラ・菱バッタ
⑧カメムシの仲間:5種類
タデ丸カメムシ・腹広カメムシ・腹広カメムシの幼体・丸白星カメムシ・大カメムシ
⑨葉虫の仲間:4種類
四ツ星ハムシ・髭長ハムシの仲間・髭長瑠璃丸のみハムシ・亀甲ハムシ
⑩その他昆虫:5種類
大二紋ウバタマ米搗き虫・大わらじ貝殻虫・後星青歩行虫・ハネカクシの仲間・コガネムシ
⑪蝶・蛾の仲間(成虫):4種類
小黄まだらセセリチョウ・蛇の目チョウ・北黄チョウ・大薄紅トガリ
⑫蝶・蛾の仲間(幼虫):4種類
一文字セセリチョウの幼虫・尺蛾の幼虫・シロチョウの幼虫・毒蛾の仲間の幼虫
⑬両生類:4種類
日本雨蛙・シュレーゲル青蛙・沼蛙・殿様蛙
⑭爬虫類:2種類
日本カナヘビ・ヘビの卵
⑮クモの仲間:13種類
長小金クモ・女郎クモ・黄腹子守クモ・菊月子守クモ・デーニッツ蠅獲りクモ・白金居候クモ・笹クモ・花クモ・闇色蟹クモ・小草クモ・脚長クモ・中型白金クモ・硫黄色走りクモ
⑯甲殻類:3種類
アメリカザリガニ・ヨシエビ・沢蟹
⑰環形生物:1種類
イトミミズ
⑱その他生きもの:3種類
ダンゴムシ・トビムシ・宝ダニ
⑲貝類:3種類
カワニナ・タニシ・逆巻貝
合計88種類
かにめいかづちのみこと
仁徳天皇時代(313~399年)に現在の地より西方の西峰山頂に創建。宣化天皇元(535)年この地に移されたという。延暦12(793)年に大宝天王と朱智天王を同殿に合わせ祀られた。慶17(1612)年に建てられた本殿は、京都府の登録文化財。建物は一間社流造、屋根は桧皮葺で、向拝の木鼻や、蟇股には、桃山様式の華麗な彫刻がある。平成16年11月から1年半を費やして屋根の葺き替えと彩色復元の修復事業が行われた。
祭神は迦爾米雷王命(かにめいかづちのみこと)。配祀として建速須佐之男命・天照國照彦火明命。
境内社は、住吉神社(祭神上筒男命・中筒男命・底筒男命)・大高神社(高皇産霊命)・三神社(経津主命・健御雷命・神日本磐余彦尊)・朝日神社(正勝吾勝勝速日・天忍穂耳命)・大土神社(大山御祖命)・白山神社(大山祇命)・稻生神社(豊宇氣毘売神)・金神社(金山毘売神・金山毘古神)・祈雨神社(天水分神)・鎭火神社(火産霊命)・春日神社(天児屋命)・大神宮祭神(天照大神)・天神社(伊邪那岐命・伊邪那美命)。
開化天皇が丸邇臣之祖、日子国意祁都命之妹、意祁都比売命を娶って生んだ御子が日子坐王。意祁都比売命は開化天皇の3番目の妃である。
『但馬国司文書』では、日子坐王は、出雲国の傘下で「丹波・但馬・二方の三国を賜り、下多遅麻之刀我禾鹿(山東町粟鹿)に宮室を造営し此所に坐す」と記載されている。
6代考安天皇は大倭帯日子国押人命(やまとたらしひこくにおしひとのすめらみこと)、8代孝元天皇は大倭根子日子国玖琉命(おおやまとねこひこくにくるのすめらみこと)と「日子国」という言葉が名前の中に入っている。「日子国」が日子坐王の治めた国かどうかはわからない。出雲、但馬、丹波などの実際の地域と関係があるかもしれないが、日の子という意味では太陽信仰と関係があるという方がよいかもしれない。
①山代之荏名津比売・②春日建国勝戸売之女沙本之大闇見戸売・③近淡海之御上祝以伊都玖天之御影神之女息長水依比売・④母之弟袁祁都比売命である。
④母之弟袁祁都比売命以外の3人の妃の名前には共通点がある。つまり「地名」+「属している氏名」+「本人の名前」という表記になっている。④は母である意祁都比売の妹の「袁祁都比売命」という意味。
①山代之荏名津比売は
「山代」+「荏名津」+「比売」の組み合わせ。
②春日建国勝戸売之女名沙本之大闇見戸売
「春日」+「建国勝戸売」+「沙本」+「大闇見戸売」。
③近淡海之御上祝以伊都玖天之御影神之女息長水依比売は、
「近淡海之御上」+「祝以伊都玖」(これは神職を示す表現)+「天之御影神」(これは仕える神様の名前)+「息長」+「水依比売」
「天之御影神」は天照大神の孫の天津彦根命の子で、鍛冶の神である天目一箇神と同一神とされ、日本第二の忌火の神とされる。「息長氏」の息長は鍛冶に使うフイゴのことかもしれない。
日子坐王は婚姻関係を通じて山代・春日・近淡海の勢力と関係を強化したのだろう。
日子坐王の孫が迦邇米雷命(かにめいかづちのみこと)であり、迦邇米雷命の孫が神功皇后となる息長帯比売命ということになる。
日子坐王の母の和邇氏は古代、代々の天皇に多くの妃を出している一族。
和邇氏の本拠地は大和国添上郡和爾(現在の天理市和爾)。ここには和爾坐赤坂比古神社があり、これが祖神と考えられている。先代旧事本紀(地祇本紀・9世紀前半)に「(素盞鳴尊の)八世孫、阿田賀田須命、和迩君等の祖」とあり、新撰姓氏録(815年)には「大和国神別(地祇)、和仁古、大国主六世孫阿太賀田須命之後也」とある。出雲系で鰐をトーテム集団の象徴とする一族。天武13年11月の朝臣賜姓五十二氏において、大三輪君(旧来の大和地方の支配者大物主命の後裔)に次いで第二番目にこの氏族の本宗家とみられる大春日臣が挙げられている。6世紀頃に春日山山麓に移住し、春日和珥臣となる。和邇氏からは春日氏・小野氏・柿本氏・大宅氏・栗田氏などの諸氏が分れ出ている。
和邇氏は天皇家から別れた一族ではなく、もともとは2世紀頃、日本海側から畿内に進出した太陽信仰を持つ鍛冶集団ではないかと考えらえている。
丹波では、弥生時代中期中葉(BC200年頃)になると鉄・玉を製造する遺跡が急増する。中国大陸での戦乱を逃れて渡来してきた人たちが棲み付いたのではないかと考えられる。急速に技術が向上するのである。そして紀元0年~200頃までは、日本の鉄の生産の中心地であった。鉄をもって大和朝廷成立に貢献した一族と考えられる。
迦爾米雷王命。「かにめ」+「いかづち」の「かにめ」とは何であろう。
①蟹の目=扇の要の意味がある。朱智神社のある山は淀川と木津川の両方を見下ろす要の地にある。
②カニの目星説。ふたご座のカストルとボルックルは星を頼りに海を航海する人の守り星であった。冬の夜空で冬の大三角形(おおいぬ座のシリウス+こいぬ座のプロキオン+オリオン座のベテルギウス)の上に見える。和邇氏や息長氏は航海技術に長けた海の民で星の信仰があったのではないだろうか?
③カニ=カネ=カヌチ。和邇氏や息長氏は鍛冶技術集団。カニメとは鍛冶技術に関係があるのではないか?
④カニは神様の使者。金毘羅さんの神様の使者はカニで、金毘羅さんの信者はカニを食べない。また、カニを食べたら、50日は参拝を控えるといえわれている。香川の金毘羅さんの総本家は大物主を祭っている。そして海上交通の守護神である。金毘羅(こんぴら)さんはサンスクリット語のクンピーラの音訳といわれ、クンピーラはガンジス川に棲むサメかワニを意味する言葉という。朱智神社は和邇氏と関係があり、その使者であるならば金毘羅さんといっしょで、カニということもあるのかもしれない。小舟のことを和邇とよぶ地域もあり、香川県の金毘羅さんのある山の麓の瀬戸内海と出会うところ三豊は和邇氏の居住地であったという。
『続日本紀』によると、宝亀2年(771年)三豊郡の丸部臣豊球が私物を以て窮民20人以上を養って爵位を進られる。丸部臣巳二西成の子、丸部臣明麻呂は嘉承元年(848年に)に三野郡の大領となる。丸部氏は和邇氏のことであるといわれている。また、香川県の各地に、豊玉姫がワニの姿になって鵜草葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)を産んだという伝承が伝えられている。
「いかづち」を名前に持つ神というと京都の上賀茂神社に祭られている賀茂別雷命(かもわけいかづちのみこと)がある。「いかづち」を名前に持つ神は意外と少ない。
賀茂別雷命は古事記・日本書紀には登場しない。『山城国風土記』逸文には、賀茂建角身命(下賀茂神社の祭神、神武天皇の東征の際に八咫烏に化けて道案内をした。)の娘の玉依姫が石川の瀬見の小川(鴨川)で遊んでいたところ、川上から丹塗矢が流れてきた。それを持ち帰って寝床の近くに置いたところ玉依日売は懐妊し、男の子が生まれた。その男の子が成人し、その祝宴の席で賀茂建角身命が「お前のお父さんにもこの酒をあげなさい」と言ったところ、男の子は屋根を突き抜けて、天に昇っていった。そこで、この子の父が神であることがわかったり、賀茂別雷命という名付けられた。丹塗矢の正体は乙訓神社の火雷神であったという。賀茂別雷命は『賀茂之本地』では阿遅志貴高日子根神と同一視されている。
「丹塗り矢伝承」は古事記にも出てくる。勢夜陀多良比売はとても美人で、三輪山の大物主神はその姫に惚れてしまい、立派な丹塗りの矢に化けて、厠で用をたしている姫の元に流れ下って、うまく拾ってもらい、姫の寝室に入ることができ、その夜に枕元に置かれた丹塗りの矢はたくましい立派な美男子になり、大物主神は夜這いに成功し、姫と大物主神の間に生まれた子が 伊須気余理比売で、後に初代神武天皇の皇后となる。
太平洋諸国には伝統的な「夜這い棒」の風習がある。かつて家が茅葺だったころ、男性が、目当ての女性の寝室へ、独特な彫刻を施した木製の夜這い棒を壁の外からつき刺して入れる。女性は、彫刻の形で男性が意中の人かどうかを見極め、否な場合は押し返し、良い場合は引き入れるという。大物主神の丹塗り矢の夜這いの話は、この太平洋諸島の人々の風習に似ているかもしれない。
彦坐王と袁祁都比売命の間の子ども、山代之大筒木真若王(やましろのおおつつきまわかのみこ)は同母弟の伊理泥王の女、丹波能阿治佐波毘売(たにはのあじさはびめ)を妃として迎え、迦邇米雷王を儲けている。迦邇米雷王を祀る朱智神社の神主の子孫は「朱智氏」を名乗っている。雷と朱智、朱智とは「丹塗り矢伝承」とは関係があるのではないかと想像する。また「丹波」が何度も登場することは、古代において製鉄の先端地域であった丹波との関係が深いことが示されていると考える。
迦邇米雷王は丹波之遠津臣の女、高材比売(たかきひめ)を妃として迎え、息長宿禰王(おきながのすくねのみこ)を儲けた。息長宿禰王は河俣稲依毘売との間に大多牟坂王、葛城之高額比売との間に息長帯比売命(おきながたらしひめのみこと)、虚空津比売命(そらつひめのみこと)、息長日子王(おきながひこのみこ)を儲ける。息長帯比売命は後に神功皇后となる。
神功皇后の子どもは応神天皇。武烈天皇が後継者のないまま崩御されて、応神天皇の5代子孫である継体天皇が越前から迎えれた。その継体天皇は507年2月に樟葉宮(くすばのみや)で即位。511年10月に筒城宮(つつきのみや)に遷都している。樟葉宮は大阪府枚方市楠葉丘の交野天神社付近が伝承地で、筒城宮は京都府京田辺市多々羅都谷付近が伝承地となっている。朱智神社のある山の大阪側が樟葉宮、京都側が筒城宮になる。また、迦邇米雷王の父親、山代之大筒木真若王の名前は大筒木の地名に由来し、その地に、後に筒城宮が置かれた。朱智氏は継体天皇の擁立に深くかかわっているのかもしれない。
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